浴室は2つありますが、お客さんが少ない時期は1つだけに湯を張っているそうです。受付で入浴料金1050円を支払い、脱衣所へ。
脱衣所には、「石けんを使用しないほうがいいです」と、店主のつぶやき。「お肌のスベスベがカサカサになってしまいます」とのこと。うーん、期待をあげるじゃないか!
扉をあけると…あっさりとした白いタイル、とろりとろりと源泉が流れ続ける、こじんまりとした浴槽(3人くらいでいっぱいでしょうか)。その先には、大きな窓から紅葉始めの山々が見え、ロケーションも美しい。
さっそく全身を浴槽に沈めて、湯質を味わってみる。ああ、この1時間でも2時間でも入っていられるやわらかさ、やさしさ、完璧私好み!角がとれたま〜るい湯質、ぬるりんとした源泉に包まれ、自然と穏やかな気持ちになります。
浴槽には真綿のように、大量に白い湯の花が舞っています。ああ、美しい。そしてなんて贅沢。湯口の色変化からも成分の濃さが見てとれます。
泉質は単純硫黄冷鉱泉。源泉は18度、寒い時期は加温しますが、温めすぎると温泉成分が壊れてしまうため、その加減にとても気を遣っているそうです。
倉真赤石温泉は、近くにある倉真温泉とはまったく泉質が異なり、ここだけにしか沸いていない唯一の温泉。昔、滝好きの店主が近くの滝に惚れ込み、ここら一帯9000坪を購入(聞くと、土木屋の社長さんでした!)。その敷地内に観音像が落ちていたので、持ち帰って奉っていると、「温泉が掘ってみなさい」と夢でお告げがあったそうです。言われた通り掘削してみると…倉真赤石温泉が沸いてきたと。日本昔話のような、本当の話!店主のおじいさんから直接聞いたのだから、間違いないんでしょうね。
事実ここの温泉の効能は高く(80歳とは思えない元気な店主を見ていても分かる)、骨折した人が毎週、倉真赤石温泉に入浴したところ、医者が驚くような回復を見せたり、大学の研究者が病気に役立てるため、泉質調査に来たりもするんだとか。
建物の屋上には、主に夏場、18度の源泉にそのまま入浴できる場所があったのですが…今年の台風で見事に壊れてしまったそうです…。
源泉は空気に触れてから30分以内は緑色をしており、気温や天気によって、ピンクになったり、白くなったり。そして驚くほど泡付きがよいそうです。いつか入りたいな。