お一人さま温泉旅

温泉読書の宿。/田沢温泉「ますや旅館」 – お一人さま温泉旅

温泉読書の宿。/田沢温泉「ますや旅館」

静かな宿の布団に寝ころがりながら、ぬる湯にずーっと浸かりながら。一人、ひたすら読書に時間を費やしたい。心身ともに癒されたいとき、迷わずこの宿を選びます。

2017年02月09日
長野県(関東/中部)

メイン温泉写真

今回の旅先

山間にひっそり。子宝の湯としても有名な「田沢温泉」。

上田駅からバスで約30分。街中から山奥へと向かい、終点の青木バスセンターでおります。宿の送迎をお願いすることもできますが、私は、大きく空が広がる景色が好きなので、いつも歩きます。

田沢温泉「ますや旅館」

田沢温泉「ますや旅館」

澄みきった冬の空気の中、なだらかな坂をのぼり続けます。寒い季節でも、うっすら汗をかくほどの運動になります。少し脇をそれると、水がキラキラはじける田んぼや、風の音がさわさわと響く神社があって、よい休憩場所に。

田沢温泉「ますや旅館」

田沢温泉「ますや旅館」

田沢温泉「ますや旅館」

道が狭まってくると、情緒ある石畳に。ひなびた小さな温泉街、青木村の田沢温泉に到着です。回湯は飛鳥時代ともいわれ、1ヶ月以上、温泉に浸かると、母乳の出がよくなると言われています。

田沢温泉「ますや旅館」

田沢温泉「ますや旅館」

本日のお宿

木造三階建ての高楼は、登録有形文化財。「ますや旅館」。

こちらが本日お世話になります、ますや旅館です。年季のはいった木造建築は、6棟とも登録有形文化財に指定されています。

田沢温泉「ますや旅館」

田沢温泉「ますや旅館」

「こんにちは〜」と声をあげて戸をあけると、奥から、女将さんと宿主さんが出てこられました。「ええ、歩いてきたの!?」と、驚かれる(笑。私は、ここの宿の接客も好きなんです。せかせかせず、ゆったりと流れる時間、久しぶりにきた孫の面倒をみてくれているような応対、だけど、ちょうどよく放っといてくれる距離感。作家・島崎藤村ゆかりの宿としても有名ですが、何度も来たくなる理由がわかります。

田沢温泉「ますや旅館」

建物の中も、期待を裏切りません。木のぬくもり、落ち着き、懐かしさ。厚めの窓ガラスは、向こう側の景色をゆがませています。現代家屋にはない窓ガラスです。

田沢温泉「ますや旅館」

田沢温泉「ますや旅館」

「今日はね、空いてたから」と、一人なのにもかかわらず、広いお部屋に通してくださいました。二階の角部屋。ヒーターとこたつの近くにふかふかのお布団。

田沢温泉「ますや旅館」

もう一つ、ここのお気に入りポイントは、部屋数は多いけれど、大勢が宿泊することはあまりないので、他の宿泊客の方とお部屋が離れていること。「あれ、今日の客は私一人かしらん?」と、食堂で顔をあわせるまで、気づかなかったりします。宿の静寂。完璧なプライベートタイム。お部屋に鍵がなくても、気になりません(笑。

田沢温泉「ますや旅館」

温泉の紹介

読書に最適なぬる湯。文庫本がよれるほど、長湯。

ではお待ちかねの温泉へ。長い廊下をくねくね歩いた突きあたりに、浴室はあります。のれんをくぐり、脱衣所へ。

田沢温泉「ますや旅館」

田沢温泉「ますや旅館」

田沢温泉「ますや旅館」

鏡、洗面台、ドライヤー、必要最低限のものはそろえられており、困ることはありません。暖房もきいていて暖かい。

田沢温泉「ますや旅館」

扉をあけると、もわんと内湯にこもった蒸気に、縮んでいた体がやわらぎます。これといって特徴のない、普通の内湯風呂ですが、特筆すべきは湯質です。

田沢温泉「ますや旅館」

田沢温泉「ますや旅館」

田沢温泉は単純硫黄泉。無色透明の湯からはほのかに硫黄が香り、テンションをあげてくれます。源泉は、38度〜40度、もちろん源泉掛け流し。長湯向きのぬる湯です。肌にやわらかく、ふわふわの真綿に包まれるような感覚です。

田沢温泉「ますや旅館」

田沢温泉「ますや旅館」

また、見た目とは異なり、たいへんよく温まる温泉です。「冬場の露天風呂はきついかな〜」と思われますが、そんなことはありません。私は全身をぷかぷか温泉に浮かべながら、開けた空を眺めて、リラックスモード全開に(笑。

田沢温泉「ますや旅館」

田沢温泉「ますや旅館」

何よりここの温泉が好きなのは、読書が進むこと!先ほども申しましたように、お客さんが多くはないので、だいたい独泉です。ぬる湯に心ゆくまで浸かりながら、文庫本をめくる、めくる、めくる、めくる…。一冊読み切ってしまうほど、浸かりつづけていることも(笑。

田沢温泉「ますや旅館」

とくに最近、仕事に追われて、精神にきていましたから…この湯、この時間、至福です。

田沢温泉「ますや旅館」

お宿ごはん

田舎宿と侮るなかれ。レベルの高めの、鮮やか会席。

ますや旅館は、夕飯もレベルが高い。ひなびた山間の温泉町、宿の女将の雰囲気から、「今日は素朴な田舎ごはんかな〜」なんて思っていると、面食らいます。

田沢温泉「ますや旅館」

田沢温泉「ますや旅館」

鯉のあらい、信州サーモン、かぼちゃ餡の茶碗蒸し、地物の天ぷら、温泉蒸しなど、彩り美しく、まるで宝石のように盛りつけされているので、目も楽しむことができます。一品一品、味付けもしっかりしており、また上品な量なので、あまりたくさん食べられない私でも、いろいろ食べられて本当にうれしい。

田沢温泉「ますや旅館」

田沢温泉「ますや旅館」

ごはんはおかわり自由。デザートもある。コーヒーも頼める。完璧です。食後はまた読書して、温泉に浸かって…布団で心ゆくまで眠りました。

田沢温泉「ますや旅館」

田沢温泉「ますや旅館」

注目グルメ

信州蕎麦は、くるみだれがおすすめ。「車屋」。

ますや旅館の女将さんに教えてもらいました。「ここは地元の人がよくいく、おすすめのお蕎麦よ」と。ちょうど青木村と上田市の境にあります。

田沢温泉「ますや旅館」

元祖信州蕎麦。客寄せのために、変に変わり種を用意することもない、どストレート勝負。味に自信がある証拠です。つゆを混ぜていただく、甘めのくるみだれでいただきました。うん、やっぱり名店は、観光ブックより、地元の方に聞くのが間違いないですね(笑。

車屋

観光ポイント

泡付きはいちばん。田沢温泉の共同湯。「有乳湯」。

宿泊した朝。行ってまいりました。ここの湯は、温泉好きにも好評です。宿泊者は、宿で割引券がもらえます。お湯は、いちばんやわらかく、何より泡付きがいい。浸かった瞬間から、全身…それこそ爪の先にまで泡がつきます。やっぱりいちばんいい温泉は、地元の方のものですね(笑。

田沢温泉「有乳湯」

観光ポイント2

雪に国宝。優雅な三重塔をあおぎみる。「大法寺」。

田沢温泉から上田市へと戻る手前。少し山を登ったところに、国宝大宝寺三重塔はあります。「寒いし、ちょっと歩くの面倒かなぁ」なんて思っていたのですが、訪れて正解でした。造形が優雅。「見返りの塔」ともよばれ、東山道を旅する人たちが、つい振り返ってしまうほど美しいと言われています。

大法寺

大法寺

ちょうど雪が降ってきたところだったので、乙な景色を眺めることができました。近くを訪れた際は、ぜひ見逃さず!

大法寺

大法寺

まとめ

ひとりの時間を満喫したいなら、都内のカフェじゃない。

できるだけ、まだ宿泊したことがない、新しい宿に行こうと思っているのですが、ますや旅館は、何度も訪れてしまいますね。とくに仕事に追われて、「もういい加減、自分の時間がほしい!」と思った時に、いちばん最初に思い浮かぶ、温泉旅館さんです。

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宿泊料金・アクセス方法

1泊2食、1万3千。都心から約2時間半。

田沢温泉/ますや旅館

●住所 長野県小県郡青木村田沢温泉

●電話  0268-49-2001

【電車アクセス】

①東京→(上越新幹線)→②浦佐→(バス30分)→③栃尾又温泉→(徒歩30秒)→宝巌堂

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